がんという病気について語る上では、常に二つの視点を持ちながら見ていかなければならないといつも考えています。
一つはマクロの視点、ともう一方はミクロの視点です。
ミクロの視点は、患者さんそれぞれのがんに対してです。
これは、本ブログを通してのテーマとなりますが、まずはマクロの視点に対して考えていきましょう。
まずここでは、マクロの視点として、がん全体を考えていきます。
そして、そのために必要なのは統計的な数字の把握です。
具体的に言えば、罹患者数とか、生存率とか死亡者数の推移とかになるのでしょう。
がんに関する一般書の書き出しの多くは、「二人に1人はがんになり、三人に1人はがんで死ぬ・・・年間100万人近くが罹患し、40万人近くが亡くなる・・・・」といった表現で始まるものが多くみられます。
膨大なデータの分析から導き出されるシンプルな数値ですが、非常に簡潔でがんという病の社会的問題を端的に表しています。
実際は、がんに罹患していても治療の副作用による場合、肺炎や腎不全・・・・などで、
がんが直接の原因と考えられなくてお亡くなりになった場合。医師の診断書に記される死因の内容によっては、この40万人に含まれない人も多くいると推察されます。したがって、
死亡者数の人数は更に増えると思われます。
私の身近な例でも、高齢の胃がんの患者さんが、抗がん剤のTS-1を服用し、墓参りの途中転んでしまい傷口からバクテリアが入り壊疽になり亡くなりました。
親戚の叔父も、大量の抗がん剤治療で、腎臓不全となり亡くなっています。これ以外にも、
がんが直接の原因ではなく、亡くなられている患者さんを多くみてきました。
おそらく、これらの患者さん方は、40万人という数値に本来は上乗せされるべきなのかもしれません。
また、日本人の死因の第4位は実は肺炎です。あまり注目を集めていませんが、大きな数値となっています。インフルエンザなどが原因で肺炎を併発してお亡くなりになる方もいるでしょうが、通常人間の免疫機構は多少高齢でもかなり対処してくれるものであると認識していたのですが、実際の統計数値はものがったっています。
つまり、何らかの原因で免疫系が痛んで正常化とされていない可能性が考えられます。
分析をしっかりやっているわけではないので、専門家からは怒られそうですが、死因の年代別統計でみるとかなりの部分で、がん年齢とかぶさります。
つまり、抗がん剤治療などでの免疫機能の低下などの要因も十分考えられるのではと推察しています。また、抗がん剤が原因とする間質性肺炎の発生などもあるのでしょう。
ここの所をご存じのドクターなどがいらっしゃいましたら、ご指摘いただければ勉強になります。
とすると肺炎の予防のために免疫系が痛まないようにすれば、肺炎による死亡者数を減らせるのではないか?
そのための抗がん剤治療をやめれば、肺炎で亡くなる人は少なくなるが、がんで死ぬ人がその分増えるのではないだろうか?
もともと、進行したがんに対して根治可能な抗がん剤治療は存在しないのだから、肺炎を防げたとしても、確かにその分増えるのでしょうか?
しかし、患者にとっては、本当はどちらがいいのだろうか?
上述のたった2行の文章だけでも、実は多くの考察が生み出されます。
更に、統計データを眺めていくと現在のがん治療への疑問が多く湧き出てきます。
本当に現在のがん治療は加速度的に進歩を遂げてきているのでしょうか?
次回はこれらに対して考えていきましょう。