「進行がんを眠らせる」NEXT GENERATION #01/患者の集い・モミの木 平林茂の書き下ろし

みなさんこんにちは!ブログを開いていただきありがとうございます!患者の集い・モミの木事務局です。

この度こちらのブログで、患者の集い・モミの木の平林茂による、がんに関する書き下ろしのブログを始めることになりました!定期的に投稿させていただきますので、ぜひ皆様お楽しみにお待ちください。

それでは、第1回目のブログがこちらになります!

「進行がんを眠らせる」

NEXT GENERATION  

がんという病と付き合うようになってすでに四半世紀が過ぎた。

父のがんがきっかけでこの世界とかかわりあうことになったが、気が付くとどっぷりと浸かってしまった。

この期間、毎日頭のどこかでこの病のことを考えない日はない。

朝起きてシャワーから出てコーヒーを落とし、机の前で線香を立てる。

多くのお亡くなりになった患者さんのことを思い浮かべて手を合わせる。

さして信心深い方ではないが、半ば習慣になってしまった。

「結局何もできなかったことをお詫びして、かたき討ちは必ずすることを誓っている。」

がんは、深く静かに潜航して、突然襲い掛かってくる病である。

自分の検査結果を知るときは、「頭の中が真っ白になる」と多くの患者さんからお聞きしている。そして、罹患した人とその家族の生き方を大きく変える病でもある。

ある意味、人生は無限に近く長いと漠然と感じて生きていた人に、明日の命について真剣に考えることを強いる病でもある。

もちろん、人それぞれとらえ方は違うし、正しい対処の仕方があるわけでもないだろう。

多くの場合、がんという病を背負い生活をしていく期間はそれなりに長い。

司馬遼太郎の「坂の上の雲」の一説ではないが、長い坂道をのぼり続け、坂の上の一だの雲をつかみに行くような人生となる。

この坂道がつらいか、希望をもって上るかは人それぞれであろう。

患者会を訪ねてくれる人の多くは、少なくても希望を持ちながら坂道を登っていく人たちが

多いと感じている。

私たちの患者会「患者の集い・モミの木」のメンバーの多くは、免疫細胞療法を治療法に取り入れている人が多い。決して奇跡の治療法ではないが、希望を与えることはできるのだろう。

最後に上梓した「悪性新生物」から、すでに8年が経過した。がんに関する書籍を執筆するのは、本当に大変である。人の命に係わるし、毎日情報は更新される。そのため、自身の再勉強から始めないとまともの書籍にならない。下準備に数年かかるし、印税はたかが知れている。

それでも、書かなければならないと考える動機が、ここのところ日に日に強くなってきた。以前の本でも、何人かの人にとっては命の架け橋をつくってあげられた。

ある意味今回の執筆の内容がヒントになり、ご自身の治療に役に立っていただける人が、一人でもいれば、それはその人の命の価値と同じになるのかもしれない。

前回の「悪性新生物」は、ほとんどがんの治療については、書いていないし、免疫療法についても取り方によっては、否定的にもとらわれかねない内容となっている。

「悪性新生物」は、患者さん方に「敵を知ってほしい」という意味合いで書き上げたもので、

長年の私の知識の集大成でもあった。

おかげで、医師からも難しすぎるといわれて、患者さんからは、ホラー小説か、眠れないときのいい睡眠薬となったようだ。

それでも、しっかり読み込んでいただいた医師の先生方は、私の知識レベルをご理解いただいて、博士号も持たない一介のライターの話を同等の立場で聴いてくれるようになった。

ある意味、この本は、少しは私の人生で役に立っていると実感している。

患者さんやその家族についていえば、この病の本質であるがん細胞の振る舞いについて、ほとんど知識は皆無である。

正直、敵を知らないのに戦争はできない。少なくても私はそう考えている。

総司令官(主治医)にすべてを任して、命令通り動く兵隊となっている患者さんがほとんどである。

私は、父ががんに罹患したときに、まず図書館に駆け込み、片っ端からがんについての書籍を読み漁り情報を集めた。

今から考えるとろくでもないものも多数あったが、それを判断できるところまで行き着くにはそれなりに勉強したと自負している。

もともと、医学や薬学、生物学の基礎もろくすっぽ知らない私が、何とか食らいついて理解できるようになったのは、ベースに物理学の知識があったことだった。物の理りを考えるこの学問は、私の性に合っていたしがんという病を理論的に考察するには適していたと思ってる。

よく、数学や物理など社会に出てから何の役に立つのか?と問われることがある。

確かに事業家でもある私にとってはたいして役に立ったと実感することはあまりない。

しかし、考え方を変えれば、私はこの学問を選んだことで、父の命を救うことができたと今でも思っている。お金より命の方が当然価値は高い。若い学生さんたちに、科学は人の命を救える学問であると伝えたいといつも思っている。

今回、新たに筆を取り、「進行がんを眠らせる」の続編を書き始めることにした。この本の続編といっても、すでに18年が経過している。当然可能性がある治療法も数多く登場してきたし、私の知識レベルも向上している。あいかわらず、要所々に医学的発想から離れた物理屋のものの見方が多くあらわれると思うが、それなりに意味があると信じている。

前回の「悪性新生物」は、がん細胞のミクロレベルでの振る舞いに注力したが、新しく書き始める内容は、可能な限り患者さん方の治療に直結できる内容を意識していく。

今回は、もみの木のホームページ上をお借りして書き上げていくが、書きあがるとそのまま書籍に移行できるようにと出版社とも話をしている。出版までには早くても1年はかかるので、読者の方はホームページを追いかけていただけば、書籍より早く私からの最新の情報を得ていただけることになることになる。

一人でも多くの患者さんが、坂道を上り切り坂の上の雲をつかみ取れるようにと思いを込めて本ブログを書き進める。

2024年3月16日

平林 茂