最大耐用量 2021-02-022021-02-02がん免疫細胞療法 可能な限り、その患者さんが耐えられるだけ大量に投与する。MTDは、正しい薬剤の使用の仕方か? がんの治療法の開発は、抗がん剤の開発の歴史といっても過言ではありません。医学においては、それがなぜ、そのような効果がおき治療法として成り立つのか、理由がわからず確立されてきた治療法は多くあります。免疫系を利用したワクチンなどは、その最たるもので、免疫機構の仕組みがはっきりわからないが、一度かかった伝染病には、二度かからないという経験値から生み出されたものです。抗がん剤も、その分子レベルでの役割が理解できない時代から、開発されてきました。人為的にがんを発生させたネズミに、様々な薬剤を投与し、がんが縮小したならば、効果があると判断されてきました。様々な薬剤とは何でしょうか?化学合成された薬物、アマゾンの奥地から採取した植物、コケやカビ菌、バクテリアが作り出す毒素・・・・・いったいどれだけの候補が上がり、どれだけのネズミが死んでいったことか?そして、次の段階では、候補に挙がった薬剤の安全性です。ネズミに効果があったから人間に効果があるかは、別問題であるし危険性も排除できません。効果が認められた薬剤の多くには、毒性が認められ投与量を間違えると致死性があることが多かったのです。今から、考えると当たり前で細胞を殺す薬であるからには毒性は避けて通れません。つまり、多くの抗がん剤は、毒物であることは当たり前のことでした。静注される抗がん剤の調剤においては、作業する人たちは安全性を最優先するために、手袋をしてマスクをし、体表にその薬剤がかからないように防護して調剤します。がん患者さんは、その治療のためにそのような薬剤を体内に投与されます。このような抗がん剤の安全試験のために、自ら自分に投与して安全性を確かめたという医療関係者の話は聞いたことがありません。話がずれました。抗がん剤の安全性試験は、どれだけの量の使用が、安全性に問題ないのかというものでした。がんを縮小させられるのであれば、可能な限り、その患者さんが耐えられるだけ大量に投与する。これが、最大耐用量(MTD:maximum tolerated dose)です。そして、これが、標準治療で推奨される正しい抗がん剤の使用法であると言われています。