モミの木 がん治療問題研究会

患者の集い・モミの木

「がん治療問題研究会」設立趣意書

がん患者とその家族のための患者会として、「患者の集い・モミの木」を立ち上げて以来すでに20年近い歳月が流れています。
立ち上げ当時は、まだ始まったばかりの 「免疫細胞療法の健全な育成と発展のため」という趣旨で活動が始まりました。
免疫細胞療法の歴史は、米国のNIHにおいて、スティーブン A ローゼンバーグ博士により始まりすでに40年以上の歴史がある治療となってきました。
しかし、先進国でも大半の国々では依然として、基礎や臨床研究の枠組みのなかでのみ実施されていることで足踏みをしています。
気が付くと、この間、がんに対する細胞医療は多くの医療機関が採用する治療へと発展してきました。
インターネットの普及も伴い患者さんは多くの情報にたやすく接することが可能となりましたが、代わって多種多様な細胞医療の違いを正しく理解することが難しいという状況が発生してきました。
そのような背景の中で、「2013年に再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されました。第1種はES細胞やiPS細胞等、第2種は体性幹細胞等、第3種は体細胞を加工等に分類されています。
これらの細胞を使用した医療の総称が再生医療と呼ばれていますが、このうち患者さん自身の免疫細胞を培養、加工を施し、がんの治療に用いるものが第三種に分類される再生医療となり、一般的に「免疫細胞療法」と呼ばれているものとなっています。
免疫細胞療法は、国の管理下で行われる治療として基準に満たないものは排除されるという形で、先端的な医療としての形が整いつつあります。
日本では、この免疫細胞療法が世界に先駆け、がん治療の現場で実用化され、すでに20年以上の臨床での治療実績があります。
近年、海外の多くの国々の医療関係者が、日本におけるこの治療実績や技術、経験等に非常に高い関心を示し始めています。
これに対して、国内では自由診療として行われてきたこれらの治療法は、健康保険が適応される効く標準治療を主体とする医療機関との間に壁がつくられ、いまだにスムーズな連携が行えず。免疫細胞療法を実施する医療機関側が連携を組めない実態があります。
その結果、最も被害を被るのは患者さんやその家族という結果が生まれています。
患者さんの多くは、標準治療を行う医療機関の主治医からの理解を得られず、隠れて自由診療を選択したり、また混合診療禁止という医師会が支持し、患者側からは理解に苦しむわけのわからない法律により、治療法や場所が制限されたりという実態があります。
今回、私たち患者会では、このような医療現場における矛盾や問題点を改善し情報や意見を発信していくための場として、研究会、勉強会を立ち上げたいと考えました。
また、長年がん治療の現場で患者さん方と接していると同様に多種多様な代替医療といわれているがん治療にも多く出会ってきました。
理論的な基盤がしっかりせず、臨床データも整ってないものも多くみられますが、中には、明らかに効果を確認できた臨床例も実在します。
私たち患者会では、患者にとって何が有益かを常に考えるとき、標準治療だろうと自由診療だろうと病気が良くなれば(治療効果が高ければ)それでいいと考えています。
がんについて勉強されている患者さんの多くは、治療の過程で健康食品や様々な代替医療を取り入れています。
当研究会では、患者さん方の実例や医師の臨床例、提供する会社などの情報をもとに真摯にその内容を検証していくことにも取り組んでいきたいと考えています。
当研究会は、アカデミア主導のものではありませんので構成メンバーは、患者やその家族、医師、看護師、科学者、細胞培養士などの医療にかかわる方々、また、保険会社、製薬会社、健康食品会社などにかかわる方々、そして弁護士、司法書士、弁理士等の法律家の方々
加えて、がん医療の現場にご興味をいただけるマスコミ関係の方々などにも、わけ隔たりなくご参会いただければと考えております。


2024年4月15日
「患者の集いモミの木 がん治療問題研究会」
設立発起人代表
平林 茂